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結局、怪獣になっちゃったのは僕だし、まゆちゃんを巻き込むのは筋違いだ。まゆちゃんはとても優しいし可愛いし美人だし…まゆちゃんの説で言うと、まゆちゃんを幸せにする役割はどうやら、他のイケメンだろう…バーカ。僕は手のひらに振動を与え無いようにゆっくり爪を地面に着けた…
(まゆちゃん。どうもありがとう。なんかスッキリしたよ。自分1人で考えてなんとかするよ。)
ガォ…ガォ…
まゆちゃんはまだ手のひらから降りない。まゆちゃんは昔からガンコだ。
(どうしたの?早く降りて。お家に帰っていいよ。)
ガオー…
まゆちゃんは手のひらに座り込んだ。まゆちゃんと僕のがまんくらべだ。僕だって…まゆちゃんが手のひらにずっと座っていて欲しいけど…
1時間くらいたっただろうか。
「うわぁぁぁーん‼」
まゆちゃんが急に大きな声で泣き出した。その瞬間僕の胸はいきなりキュンキュンしだして、いてもたってもいられなくなって、とても温かい気持ちが溢れてきた。
"守ってあげたい‼"
そう思ったとたんに体のサイズがゆっくりと小さくなって僕の元のサイズに戻っていった…
が、体はまだ怪獣のままだった…
(泣かないで…まゆちゃん)
ガオー‼
「ひろくんが人間に戻れないんなら、あたしが怪獣になってあげるから‼怪獣になれないならウルドラマンになってあげるから‼1人でなんとかするなんて悲しい事言わないで‼あたしは自分の役割はわかっているから‼ひろくんを守るのはあたしだから‼」
(………?)
ガォ?
「そうじゃなかったら、大きな怪獣の所に女の子1人で向かっていかないから‼世界中でひろくんを守るのはあたしだけなの‼」
そう言って彼女は僕の口にキスをしてくれた…
その瞬間僕の胸はまた、いきなりキュンキュンしだして、いてもたってもいられなくなって、とても温かい気持ちが溢れてきて…
[完]
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