僕が怪獣になった

｢まゆみちゃ～ん‼｣

ダダダダダ…

｢な～に～‼｣

｢今度近所に越してきた田中さん家のひろくんだって、あなたと同い年よ。ご挨拶なさい｣

｢………………｣

｢………………｣

バシッ‼

｢うぇぇぇーん‼｣

｢こら‼まゆみ‼あんたなんてことすんのよ‼謝りなさい‼｣

｢キャハハハ｣

ＣＱ‼ＣＱ‼こちら作戦本部全隊員に告ぐ……奥多摩湖を汚染した怪獣は現在都心部に向かって移動中…このまま甲州街道を直進すると思われる…引き続き厳戒体制を怠るな

(ごめんなさいねぇ。ご迷惑をおかけしますねぇ。)

ガッオー‼

パタパタパタ…

あれだな…ヘリコプターの数がいきなり減ったな…やばいんじゃない？…そう言えば真由美ちゃんのお父さん元気かな…たしか自衛隊の偉いさんだったけど…

バッターン!!

あ。イケね…またビル壊しちゃった…広い幹線道路を選んで、しかも怪我人を出さないように、ゆっくり進んでいるのに…尻尾の動かし方がイマイチ馴れなくて…だいたい昨日まで尻尾なんてなかったんだから…

緊急メール速報―――

都内に怪獣が現れました。都内に在住の方は他の都道府県に速やかに避難してください。関東圏内の公共機関を緊急避難所として開放しております。尚、交通機関が一部不通になっております。

｢きゃあー‼｣

(あ。すみません‼ちょっと見えなかったんです。)

ガオー‼

｢きゃあー‼｣

ん～…やっぱ言葉が通じないって言うのはネックだよなぁ…結局怖がらせてしまうもんなぁ…

事情を説明出来ればこんな事態にならずに済むのに………ん？……待てよ…怪獣の言葉なんて信じてくれるかな？

言葉を言葉通り取るなんて事は人間同士でも難しいのに…人間と怪獣だもんなぁ…

それに…たとえ人間に怪獣の事を理解してもらっても…それでいいのか？

怪獣として