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黒川大吾の両親が亡くなったのは、彼が十九のときであった。
東京のとある私立大学に通っていた彼は、突然の訃報に驚き、そして悲しんだ。
特に大きな夢を持つこともなく、何となく文学部に通っていた彼は、両親の死をきっかけに大学を辞めることに決めた。
それが、始まりだった。
「大吾くん、行くところがないなら僕の家に住む?」
身寄りの無くなった大吾にそう言ったのは、東京の病院に務めている幼馴染みだった。
澄野雪という名前の、大吾より六つほど年上の彼の言葉に、大吾は救われたような気持ちがしていた。
果たして彼は、天涯孤独となった大吾に手を差し伸べた天使となるか、はたまた大吾の人生を狂わす悪魔となるか。
二人の同居生活が始まった。
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