第1章 ドラゴンの食事

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 目を覚ますと目の前には涼香の顔があった。 「あ、起きました、よかったです。間に合って」  そういう涼香は片手に白い魔道書を持っている。 「あ、治療(キュア)してくれたのか。ありがとう」  俺は体を起こす。このいまいましいぶっとい木の実は俺の頭をかち割って、それでもなお、原型をとどめている。頭をさすると少し血の跡が残っている。どうやら思いっきり出血していたようだ。だがそれよりも、優姫はなぜニコニコしてるんだ? 「優姫。何かいうことがあるんじゃないか?」 「えっ?ああ、そうだよね。これがボクの魔法だよ!」  優姫は嬉しそうに両手を広げる。ったく。相変わらず話が通じないな。 「そうじゃないんだが・・・。まぁいい。とにかく、優姫の魔法は身体強化か」 「身体強化。確かにそんな感じかもー」 「まぁ、色とあんまり一致していない気もするが」 「その辺りは、まだよくわかりませんね。魔法の発動はこの魔道書の読めない文字がないとダメみたいですね」 「ああ、このよくわからん文字。言うならば魔導書に鉄板のルーン語だろうか。やっぱり読めない。だが、感じる。そういう類の文字なんだろうな。何というか、こう、イメージがそのまま文字に置き換わっている感じだ」  会話においていかれた優姫は刀を磨く作業に戻っている。うわっ、そんな風に刀の刃にさわらないでくれ。こっちの背筋が凍る。しかし、まだ難しい話はしてないと思うが。 「そうですね。この文字が書かれたページを開いて、魔法を発動させる言葉を言うと魔法が発動しますね」 「まぁ、まだ俺たちたいして魔法使えないけどな。俺も攻撃系の二種類だし、涼香もそんなものか」 「そうですね、私も治療(キュア)と跳躍(ジャンプ)、あと通訳(トランスレーション)くらいしかできません」
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