第一章 ひとりぼっちの世界、そして

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 禍々しい暗黒色の鎧に身を包んだ存在が、ぼくらの前に立ちはだかった。  この世の悪を統べる者、魔王だ。その名に相応しく。全身からは赤黒い妖気が煙るように放たれている。  体躯は並の人間の倍はあろうか。その様子はむしろそびえ立つという表現が相応しい。  そんな魔物の中の魔物。恐怖の頂点に立つ魔王が今、片膝を地面についた。  えぐられた胸の傷を手で押さえ、恨めしくぼくたちを睨んでいる。  さりとてこちらも無傷ではない。  生きるか死ぬかの戦いだった。  しかし強大な力を誇る魔王でさえ、ウィング━━すなわちぼくと、その仲間━━ドラグを名乗る友人の最強コンビには敵わないのだ。  ぼくは剣を構え、相棒ドラグに目配せをした。  光り輝く双剣の柄を握りしめる。  刀身の輝きはさらに増し始めた。 「ドラグ、一気に畳み掛けるぞ!」 「おうよ!」ドラグが威勢良く応えた。「タイミングはそっちに任せるぜ!」  呼吸を合わせ、最終奥義を発動する。 「「エターナル・ディスティニー!」」  重なる掛け声が魔王城の一室に響き渡った直後、最大の敵は断末魔の叫びを上げた。 「ぬわ━━っ」
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