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次に目覚めたときには見慣れた自室の天井が見えた
母さんに聞いてみると、今日の夕方、東雲さんが俺を背負って家まで送ってくれたのだそうだ
曰く
『昨日マンションの前でしんどそうにしていたので昨日から僕の部屋で休んでもらっていたんです、ご連絡せずに申し訳ありません。よく眠っているみたいなので外に出すのは忍びなかったのですが、彼にとってもきっと家に帰ったほうが良いと思ったので失礼ながらこのように送らせていただきました。』
そのあと俺を送ったお礼にお茶でも…と言う母さんに丁寧に断って東雲さんは帰っていったそうだ
「あんたいつの間に東雲さんと知り合いになってんのよ。」
「知り合いって…俺だってつい今日まで知らなかったんだから。」
「嘘おっしゃい、なんでわざわざ知らない人を助けて、しかも家に上げるのよ。」
そういえば今日、東雲さんが俺を助けた理由は『瀕死の人を見捨てていくのは目覚めが悪い』と言っていた
でも考えてみれば俺と東雲さんには今まで何の接点もなかったのだ
俺を見つけた時点で警察を呼ぶなり、救急車を呼ぶなり、ほかに方法なんていくらでもあったはずだ
どうして東雲さんは俺に自分の正体をばらしてまで助けてくれたんだろうか…
「とりあえずあんたお風呂に入ってきなさい、話はそれからよ。」
「だから別に何もないって…。」
きっと夕飯の時には母さんからの質問攻めが待っているのだろうが、とりあえず今はお風呂に入ってくることにした
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