あり得ない忠告

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「でもなっつー、気を付けてね。」 「え、何が…。」 突然、先輩の声が冷静になる。先ほどまでの興奮状態とはうって変わったものだ その表情は今まで見たことのない、とても謎めいた笑みを浮かべていた 「裕斗ってバイだから。なっつーって裕斗の好みドンピシャだから食べられないようにね。」 「は?バイって…。」 そんな話初めて聞いた。いや、単に聞いたことがなかったというべきか バイという言葉の意味なら分かる、恋愛対象が男女どちらもである人のことだ でも俺が二条先輩の好みって… 「裕斗ってね、女の子も男の子も真面目で可愛い子が好きなの。なっつーってばあまりにも当てはまってるから驚いちゃった!」 「俺が、真面目で可愛い…?」 「完全に当てはまってると思うよ。まあなっつーの場合、私達と話すときは大人しそうに見せておいて友達と話すと実は…って感じを天然でやるから怖いんだけどね。」 「俺って天然だと思われているんですか…。」 「もう絶滅危惧種くらいの天然だよ!行動力はあるのに天然だから、いつかどこかで悪い人に騙されるんじゃないかとお姉さんは心配だよー!でもそんなギャップもいいよー!」 先輩はややオーバーぎみなリアクションで俺に抱きついてくる 目上の人と話すのだから敬語はある程度はつけるが、クラスメイトに敬語はいらない。普通のことだと思うのだが、先輩から見れば俺は天然の部類に入るらしい まったく自覚は無かった。むしろ、天然というより常識があると思っていた もしかして、東雲さんがたびたび呆気に取られたり驚いたりしているのは俺が知らぬ間にそんな発言をしていたからなのだろうか だとしたら、とてつもなく恥ずかしい 「あれ?どしたの?顔真っ赤だよ?」 「いえ…何でもないです…。」 「もしかして天然って言われて照れたの?やーん!そんなところも可愛いー!いっそのことお姉さんが養ってあげるー!」 なにか大きな勘違いをしている先輩には悪いが、今はそういうことにしておいてもらう 結局俺はこの後、それ以上練習ができずに1日を終えた
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