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「あ、二条先輩。まだ残っていたんですか。ほかの人たちは?」
「全員帰ったぞ。俺はちょっと色々あってな。それよりどうだった?試合直後に女子に囲まれる気分は?」
俺は試合が終わってから1時間も後に控え室に帰ってきていた
なぜこんなに遅くなっていたのかというと、試合が終わってコートから出た瞬間、なぜか女子の大群に襲われたからだ
彼女たちは口々にねぎらいの言葉を掛けながらも、半ば強引に持っていた様々なものを俺に押し付けて、その後質問攻めにあっていた
「見ていたなら助けてくださいよ…大変だったんですよ。試合より疲れた気がします。」
「お前なー、それモテる奴しか言えない贅沢な悩みだぞ?ちやほやされてる今が華ってもんだよ。」
とりあえずもらったものを控え室のテーブルの上に置くと、ドサッと大きな音がした
「どんな物もらったんだ?」
「えーっと…お菓子とか、飲み物とか…タオルとかもありますね。」
「はー!モテる男はつらいねー!」
「思ってもないのに言わないで下さいよ。大体先輩も女子に囲まれていたじゃないですか。」
「あれはいわゆる義理だよ。お前に近づくために俺を口実にしようって輩もいるんだからな。俺の学部にもいるぞ、お前のファン。」
「えっ本当ですか。」
「唯香のことだけどな。」
「あー、なるほど…。」
そういえばこの前も『うちに嫁においでー!』とか言っていた気がする
あれがもしファンとしての言葉なら、過激もなにもあったものじゃない
大体なんで俺が嫁にいく方なんだ
「まあ今のうちに思う存分女の子にちやほやされておけよ。どうせ社会人になったらそんなの無くなるんだし。」
「そうですね、今だけのものだって思っておきます。」
「なんなら可愛い子がいたら紹介してくれてもいいんだぞ?」
「それは自力で探してください。」
ユニフォームから着替えながらそんな馬鹿みたいな話をする
ふと、自分も大学生活が残り半分しかないことをぼんやりと考えた
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