突然の危機

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「そういえば先輩は来年サークルを辞めるんですか?」 「多分そうなるかなー。司法試験の勉強もしなきゃいけないし、唯香の方もそうだろ。こうやって馬鹿やってられるのも今のうちだな。」 「そうですか…法学部って忙しそうですもんね。」 「まあなー。でも入ったからには留年無しで卒業したいし、頑張らないとな。」 「応援してます、頑張ってください。」 お前もなー、と言いながら二条先輩は俺の頭をがしがしと乱暴に撫でる 「痛いですって先輩。」 「これくらいで泣き言言ってんじゃねーよ。うりゃうりゃー!」 軽口をたたきながらも、頭をかき回す手は痛くはない 「お前も教育だろ?どうなんだよ、将来は。」 「あー…それがまだ決まってないんです。漠然と教師になりたいとは思うんですけど、どんな学年を教えたいのかなんてまだ決めてませんし。」 教師と言われて身近で思い浮かぶのは東雲さんだ けれど、俺では東雲さんのような教師にはなれない気がする ではどんな教師になりたいのか、そう聞かれると俺はまだ将来のことを何も決め切れていないことが思い知らされる 「まあ後2年以上あるし、ゆっくり決めていけばいいと思うぜ。俺も別に明確な将来設計があって法学部に入ったわけじゃなかったからな。」 「そうだったんですか?」 「なんていうか、どうせ大学はいるなら賢そうな学部がいいなって思った、それだけだったし。」 「不純すぎる動機ですよそれ…。」 「高校の時の担任にも同じこと言われた。」 あっけらかんと先輩はそう言った 確かに言われてみれば、そう焦っても仕方ないのかもしれない 転ぶこと覚悟で走ってもいいが、一歩ずつ着実にゆっくり進むのも1つの手だ 「ありがとうございます先輩、なんだか楽になりました。」 「お礼言われるようなそんな大層なことは言ってないぞ?」 「俺にとっては役に立ちました。」 「ふーんそっか、ならお礼もらってもいい?」 「お礼…?…っ!」 帰る用意をしていた俺に投げかけられた、含みのある言葉 意味が分からず真意を問おうと振り返った瞬間、身体が背後のロッカーに押しつけられる 視線を少し上にあげると、間近にあった先輩の目と視線が合った
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