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俺が東雲さんの食料になるにあたって、いくつかのルールが設けられた
曰く『互いに生活もあるし、プライベートは守らないとね』だそうだ
(その1)『食事』は最高でも週に3回まで(長期でいなくなるなどの場合により変更)
(その2)『食事』は二人共が帰宅してから
(その3)俺が貧血を起こすまではやらない
(その4)大きなけがをしたときや体調が悪いときは×
(その5)満月の夜は『食事』の日だとしても、東雲さんのもとを訪れてはいけない
「あの、質問いいですか?」
「うん、いいよ。」
「週3回って東雲さんはそれで大丈夫なんですか?お腹すいて倒れたりとか…。」
「それは大丈夫だよ、もともと僕は燃費がいいほうみたいでね、いわゆる空腹状態の時に起こる『吸血衝動』もほとんど起こったことないんだ。だから週に3回くらいで足りるんだよ。それにいくら1回の量を減らしたって、回数が多ければ君の負担にもなるだろうし。」
「後、満月の日はダメってどういう…。」
「あー…これはさっき言った『吸血衝動』に関連するんだけど…まあこれ以上は秘密にさせてもらおうかな。」
「俺も無理に聞き出そうとは思っていないんで、それでいいですよ。あ、そういえばいったいどこから血を吸うんですか?」
「そうだね…よく本やテレビとかの世界では首筋が多いみたいだけど、痕が目立つしね…
。」
「血を吸った後の傷って治りにくいものなんですか?」
「うーん…傷の広さや深さにもよるけどね。君がこの前刺された傷があっただろう?あの時僕の血液を飲ませたって言ったけど、僕たちヴァンパイアの血液や唾液には治癒効果があるからなんだ。君の傷は結構広いものだったから治癒効果の高い血液でもまだ傷痕は完全には治っていないだろうけど、『食事』後の傷痕となると…。まさか君に血液を飲んでもらうわけにもいかないし…。」
「それは勘弁してください…。」
「だろうと思った、うーん…。長く見て2~3日ってところかな。」
「2~3日…。それならかまいませんよ。」
「え…まあ確かに首筋だったら『食事』も早く終わるし効率はいいけど…。」
「その代わり、服で隠れるくらいのところでお願いします。」
「それはもちろんだよ。」
その後も東雲さんは悩む素振りを見せたが、やがて俺をまっすぐ見た
「ならお言葉に甘えてそうさせてもらおうかな。」
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