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「失礼しました。」
ガラガラ、ピシャン…
「ふう…俺あの教授やっぱり苦手だな…なんかこう…雰囲気が…。」
用途不明のビデオカメラを教授に渡して教室へと戻る
ドアを開けると、俺の荷物が置いてある場所にいた活発そうな女子がこっちを振り向き、目が合うとにっと笑った
「お帰り!夏樹!」
「おー、来てたのか朱音。」
この話し方からして明るい女子は南朱音(みなみ あかね)
俺の幼馴染で、同じ学部に通っている
持ち前の明るさと裏表のない性格から男女や学部内外問わず人気が高い…らしい…
俺から見れば、ただのガサツな女子にしか見えないのだが…
「遅いよー!今日は駅前のラーメン屋さん行こうって約束だったじゃん!」
「ごめんごめん、課題出しに行くときに教授につかまっちゃってさ。」
「ふーん…ならいいけど、今度は絶対だからね!後、今日の埋め合わせはぜーったいにしてもらうんだから!」
「埋め合わせって…例えば?」
「うーん…じゃあ、ラーメン屋さんに次行ったときは夏樹のおごりってことで!」
「やだよ!絶対お前際限無く食うだろ!」
「チッ、バレたか。」
「バレバレだっつーの。」
教授の謎の手伝いで多少足止めを食らったものの、いつもと変わらぬ毎日だ
毎日同じ時間に大学に行って、同じ時間に家に帰る
毎日毎日同じことの繰り返し
そうやって生きていくんだろうなーなんて、漠然と考えていた
この日までは
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