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「はい、お茶。紅茶にしちゃったけど飲める?ミルクとか砂糖はいる?」
「あ、じゃあどっちも…。」
「はい、どうぞ。」
(イケメンが紅茶ってなんだ、似合い過ぎか、嫌味か)
実際目の前に座って優雅に紅茶をたしなむ東雲さんは、まるで絵画のような美しさだ
これを近所のおば様たちが見ればたまらずキャーキャーと黄色い歓声を上げるのだろう
「あの…遅くなりましたけど、助けてくれてありがとうございました。」
「いやいや、帰ってくるときに血まみれで倒れでいる人を見つけてそのまま無視して帰ったら、流石に目覚めが悪そうだし。何かあったのかい?」
「えっと…それが理由も誰がやったかもわからなくて…暗かったし後ろからだったんで顔も見えなかったし…。」
「そっか…通り魔ってことなのかな…。」
「でも俺、結構深く刺されたはずなのにもう傷がふさがっているなんて…。」
「ああ、それはほら。」
そういうと東雲さんは自分の左手首を俺に見せた
そこには赤い一筋の傷がついていた
「これ…リストカット…?」
「あ、別に自殺しようとしてたわけじゃないよ?簡単に言えば僕の血だよ。」
「血…?」
「そう、僕の血を君に飲ませたんだよ。」
は?
なんだこの人は、何を言っているんだ?
血を飲ませた?俺に?
でもそんなことをして何になるっていうんだ?
「あーそういえば言ってなかったっけ、僕はヴァンパイアなんだ。」
にこっと、まるで大輪の花が咲くような笑顔で東雲さんは笑った
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