恋する名探偵(仮)

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 ――俺は(ただの)高校生、武田慎吾。  だが! 浮気調査だけは迷宮なしの名探偵!(たぶん……) 「んっ……ぁ、土岐ぃ。もっと……」 「悪い。時間がないから、続きはまた今度な」 「えっ?」  嘘! キスし始めて、まだ三分だよ?  いつもなら、たーっぷり十分以上かけてキスしてくれる土岐なのに。  なんで、そんなにそそくさと帰ろうとすんの? 「はっ! まさか!」  ももっ、もしかしてのまさかだけど、もう俺に飽きちゃったとか? それとも――。 「……浮気?」  ははっ、まさかぁ……ん? いや、待てよ。有り得るんじゃね?  だって俺、土岐を惹きつけておける自信なんて1ミクロンもないよ。  ないない。ないない尽くし! ゼロだよっ! でも、だけどさっ……! 「駄目だー! 浮気だけは許さぁんっ!」  ――よぉし、準備OK。変装OK。今日もヤるぜ。レッツ尾行スタートだ!  ふっふっふっ。土岐よ。お前、知らないだろう。この俺様が、恋の名探偵だということを!  迷宮なしの名探偵! 浮気現場を押さえるなんてお手のものなんだぞ。ヘイヘイ、観念しろい! 「ヘイヘ……あれ? 何、コレ」  浮気を疑ってから二日目。尾行も二日目。  昨日、浮気相手からかかってきた電話を盗み聞きし、この神社の夏祭りに来ると知った。  つーことで、夏祭りに合わせて名探偵シンゴの変装は浴衣!  で、目立たずに尾行してきたけど、現場では、絶賛、焼き鳥焼き焼き中(言いにくい)の土岐の姿がっ!
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