迫りくる再会に戦闘準備を整えよ

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出勤してすぐ、外回りの準備をしていると若干ダレた口調で声をかけてくる男がいる。 同期で同じエリアマネージャーの伊崎だ。 「はよー、吉住。朝から忙しそうじゃん」 「はよ。忙しいの! 東武に商品届けて上げなきゃいけなくて」 昨夜、東武百貨店に入っている店舗の販売員から連絡があり、大口注文で不足の商品があるという。 朝一番に必要だということで、追加発注したのとは別に私が先に最低限必要な分だけ届けることにしていた。 デスクの上に、ジュレのギフトセットが十個入った段ボールがひとつ。 留めてあったテープを一息に引き剥がして、中身を出していく。 電車での移動なので、箱で持ち出すのは辛い。 大型のショップバッグに詰めれるだけ詰めてふたつ、両手に提げていくことにしたのだ。 「うっわ。お前これ、マジでもってくの?」 「持ってくよ。午後の便じゃ間に合わないし、店舗周りのついでだから」 「無理だろ水物商品だぞ」 水物。 ジュレなんかの詰め合わせギフトは、結構重い。 これがクッキーとかならまだマシなんだけど。
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