プロローグ***鹿沼おとぎは迷い込む。

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「どうしよう!間に合わないよー!」 朝8時30分。 私……針白、じゃなかった……鹿沼おとぎは焦っていた。 寝坊するなんてヘマ、いつもはしないのに……。 それもこれも全部、あのヒトのせいだ。 私を置いて消えた、あの人の……。 「そんなこと言ってる場合じゃなかったっ!支度、したくっ」 今日は高校の入学式なのに。変な夢見て、バッカみたい。 新品の制服をピンっと伸ばして、私は家を飛び出した。 今日から通う星章学園は、私立の進学校だ。 中学からの友人は誰も行かない。なんてったって1時間に1本しかないバスに乗って、片道1時間近くかけて通学しなきゃならないからね。 でも……いいの。 私には馴れ合いなんて必要ない。愛想笑いとか浮かべるだけムダ。 スマイルゼロ円じゃやってらんねーっつうの、こっちは。
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