5人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「どうしよう!間に合わないよー!」
朝8時30分。
私……針白、じゃなかった……鹿沼おとぎは焦っていた。
寝坊するなんてヘマ、いつもはしないのに……。
それもこれも全部、あのヒトのせいだ。
私を置いて消えた、あの人の……。
「そんなこと言ってる場合じゃなかったっ!支度、したくっ」
今日は高校の入学式なのに。変な夢見て、バッカみたい。
新品の制服をピンっと伸ばして、私は家を飛び出した。
今日から通う星章学園は、私立の進学校だ。
中学からの友人は誰も行かない。なんてったって1時間に1本しかないバスに乗って、片道1時間近くかけて通学しなきゃならないからね。
でも……いいの。
私には馴れ合いなんて必要ない。愛想笑いとか浮かべるだけムダ。
スマイルゼロ円じゃやってらんねーっつうの、こっちは。
最初のコメントを投稿しよう!