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目を伏せた晴馬の顔を見詰めながら、今起きていることに気を巡らせる。
い、今、私……お兄ちゃんと、キスした!!
わ、わ、……私の、ファーストキスが、、あっさり……。
車窓さんの独特のアナウンスがかかり、汽車の速度は徐行運転になる。時々かかるブレーキ音が煩い。そんな中、私達はしばらく互いを見詰め合ったまま沈黙していた。
齢十七年にして頭真っ白けになった私は、一瞬気絶していると言えなくもない。
この男、東海林晴馬はこんなにチャラチャラしてたっけ?
それとも、東京かぶれして女ったらしになったの?
私が知っている晴馬は、もっと……シャイだった。
―――― 何も言えない。何を言うべきかも思いつかない。
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