第3章 いきなり両想い

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 晴馬が行った大学は芸術大学だったことを思い出す。デザイン関係の就職についたはずなのに、教員免許もとっていたのだろう。定年退職を迎えた前任の先生との入れ替わりの配属だと知って、私の心は小躍りを始めた。  大勢の生徒の中にいる私と目が合った彼は、うっとりと微笑んだ。  隣や後ろにいる女生徒が「あの先生やばい」とか「超カッコいい」とか囁いていた。  他の女子から見ても晴馬はカッコいいらしい。  放課後、いつものように美術準備室の鍵を事務室で受け取って、私は三階一番奥にある美術室に行った。案の定、そこには晴馬がいて、私に気付いて彼は嬉しそうに笑った。 「美術部員は私しかいないって知ってたの?」 「……知らなかった」
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