第3章 いきなり両想い

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「う……」  無意識に漏れ出た自分の声に、はっとした。晴馬の唇から赤い血が滲んできたのを見て、私の心臓は更に縮みあがった。 「……ごめん。今のは俺が悪いよな」  トーンダウンした晴馬がしょんぼりとしながらつぶやいた。さっきまでとはまるで別人のように萎縮した彼は、椅子に腰を下ろしてため息をつく。 「つい、欲情してなりふり構わずお前を襲うところだった。あっぶなぁ……」  教師になりたての大の大人とは思えない口調で、少しいじけた少年のようにそう言った。  私はまだ震えていた。脚がガクガクして、立っているのもやっとで……。  晴馬は立ち上がり「ここに座って落ち着こうか」と私の手を取る。  今度はまるでレディーファーストのような紳士的な態度で、私をゆっくりと引っ張って椅子に腰を下ろしてくれた。
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