第4章 逃げてきた男

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 一度燃え上がると簡単に火は消せなくなって、会うたびに、肌を重ねるたびに、中毒になる。離れがたくて恋しくて他の事も冷静に考える余裕もなくてこんなにも誰かを欲したことはなくて……。  今だって怯えながら待ち焦がれてしまう。  どちらからともなく、もう二度と会わないって話になってからも俺はどこかで彼女からの電話を待っていたのかもしれない。ひたすら、彼女の番号と共に流れるバラードを今にも奏でるんじゃないか……。そんな期待を込めて、枕の横にスマホを置いてゴロゴロしていた。  今頃、彼女は誰と一緒にいるんだろう?  俺ではない誰かと笑っているのだろうか?  それとも、一人で困っているんじゃないか?
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