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出会った頃の彼女は全てがうまくいかなくなって、いつも不機嫌な顔をしていたから。
そんな彼女が俺の名前を呼ぶ度に、鼓動が速くなっていくのを意識し始めた途端。
彼女の方から誘ってきた。
接待帰りの食事会で一緒に居た同僚が帰った後、二人きりになった途端に彼女の目つきが変わった。トイレから戻ると、カウンターに一人で座って待っていた彼女の左手の薬指に光る小さなダイヤモンドが消えていた。
「やっと二人きりになれたね」
今思えばあれは天使の微笑みなんかじゃなく、悪魔の誘惑だったんだ。
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