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この時、初めて視線がぶつかった。
頬杖をついたまま車窓の風景をぼんやりと見ていたらしい横顔が、いつの間にか私に向けられていて。その瞳にはまるで親しみさえ込められている気がして心臓が跳ね上がった。
この目を覚えてる……。
「……やれやれ…やっと、見てくれた」
低い声。
それに、細くて長い指がいつの間にか私の左手首を捕まえていた。
「ここにいろよ」
声が出ない。
驚き過ぎて頭が真っ白になる。
「久しぶりだな、夏鈴」
彼は、
東海林 晴馬はにっこりと笑った。
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