第10章 女の勘と男の性

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 家の前に来ると早朝勤務に向かうお母さんとばったり遭った。 「あら、随分と早いご帰宅ね」と、ニヤニヤ顔で嫌味を言われる。  これが普通の恋愛における朝帰りならば、照れたりして可愛げがあるんだろうけど、今の私にそれは期待されても無理だよ。  憔悴した様子に気付いたのか、「あんた、どうしたの?何かあった?」と聞かれた。 「……結婚詐欺のことをね」 「聞いたの? なんだって?」 「……あんま、ベラベラと気楽にしゃべれるような話じゃないし」 「でも、その様子だとなんかトラブったんでしょ? 喧嘩にでもなった?」  喧嘩ならどんなにマシだろう。  あれはどう説明すればいいのか、わからない。
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