またあした

1/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ

またあした

 小学生の時、クラスにとても仲のいい友達がいた。  学校のある日はむろん、休みの日もいつも約束をして二人で遊んでいた。  あの日もいつものように待ち合わせをして遊び、連休だったから、翌日も同じ場所で待ち合わせをして遊ぼうと約束し、家に帰った。  でもその約束が守られることはなかった。  帰宅途中、友達は交通事故で亡くなったのだ。  報せを聞いた私は寝込んでしまい、それ以降、どうしても友達のことを思い出してしまうので、彼女と行った場所には自然と近づかなくなった。  あれから十年以上の月日が過ぎ、進学で別の土地に行きそのまま向うで職も見つけて暮らしていた私は、久しぶりに地元に帰って来た。  友達の事故はまだ痛ましい記憶だが、年月が少しは心の傷をいやしてくれたようで、小学生の頃に馴染みのあった場所を見ても逃げ出したいような気分にはならず、私は久方ぶりの地元を懐かしく眺めながら歩いた。  昔、友達とよく行った店。家が真逆の方向で、後から遊ぶ約束もしているのに、それでも遠回りして帰った道。そして、いつも待ち合わせ場所にしていた公園。  まだ少し胸は痛むけれど、懐かしいと感じられるようになった風景を見て歩く。でも、公園の敷地内に立ち入り、東屋に視線が向いた時、私の意識は凍りついた。  いつもそこが待ち合わせの場所だった。少し時間にルーズな私とせっかち気味な友達の待ち合わせは、必ず私が遅れる方で、公園に来ると、必ず東屋の下に彼女の姿が見えた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!