イル

アウラ 1

　背後に人の気配を感じ、少女は振り返った。

　不思議な色の瞳が、少女をじっと見返している。

　灰色と黄色のまだらのように光る瞳は、月の光を写して金や銀に煌めいている。きちんと束ねられた髪は、まじりけのない金色。
　少女がその男と視線を交わした瞬間、月の光が強くなり、少女の銀白色の髪に乱反射した。すると男の奇妙に美しい瞳が、何かに驚いたように細められた。

「お久しぶりです、王女」

　男の柔和な口から発された、すべらかで歌うような声は、優雅な容貌に相応しかった。
　少女は相手の容貌を記憶と照合してみた。
　とびきり印象的な瞳を持つ相手だから、一度会えば覚えているはずだが、少女には男に関する記憶はない。