私と彼女は…

6/6
前へ
/6ページ
次へ
 私とサヨは、葬儀会場にいた。  サヨは、棺(ひつぎ)に永眠(ねむ)る母――恭子に向かって、 「ママ…… ありが……とう……」  しかし私は、残念だった。  もっと早く、この方法が分かっていたら、家族の楽しい会話が出来ていただろうに……。  妻の葬儀も無事に済んだ、翌朝……  サヨはニッコリ笑顔で会釈してから――真顔で、 「これからは……パパじゃなくて あなたって……よんで……いいですか?」  考えてみれば、二人に血のつながりは無いのだ。  そして私もサヨに、特別な感情を持ちはじめていたのだった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加