俺には魔力が有ったらしい

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俺には魔力が有ったらしい

「俺、ここで盗賊団とか、待とうって思ってた。いきなり異世界に来て、でも俺は要らないって言われて。じゃあなんで、俺はここに居るんだ、って思ったけど言えなくて。さっさと王宮を出て行けって感じに出されて。要らないって言うなら、日本に帰してって思ったけど、それも言えなくて。俺はあの人たちに何一つ言いたいこと言えなくて。口開けば教養が無いって言われたから。ずっと黙ってて。この人たちの願う勇者が現れたら、俺は日本に帰れるんだって、勝手に思ってて。だから、こんな風に放り出されるなんて思わなくて。そっちがそうするなら、俺は盗賊になってでも生きて、生きて日本に帰る方法探すんだって……」  だんだん自分が何を言いたいのか、わからなくなってきた。  それは、勝手に流れた涙のせいでもあるし、初めて人から、イシュさんからかけられた、優しい言葉のせいでもある。 「そっか。そこまで考えていたの。なら、魔族の王様と、旅してみませんか?ふふ、近くの街で、ギルドの冒険者登録しちゃおう。俺がこの世界を案内するよ。俺はワタルを歓迎する。この世界へようこそ」     
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