引き立て役だなんて思ってないよ

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「……カノジョのどこが好きなの? 堂本君が猛アタックしたって聞いたよ?」 「え? そんな話、出回ってんのっ!?」  恥ずかしいなー、と頭をかく。柔らかそうな髪。 「そりゃ、堂本君、人気者だから」 「あー」  言うと、彼は少ししぶい顔して 「それ」 「それ?」 「カノジョは、俺の事好きじゃなかったから。だから」  言いながら、ゆっくりと笑みを作った。 「よくわかんないけど俺こういう外見だから割と目立ってて、バスケも別に好きでやってるだけなのに活躍したからか、っていうかさっきも言ったように球技大会は完全に清澄のおかげなんだけど。まあ、自分で言うのも恥ずかしいけど人気でちゃって」 「……うん」  ああ、それは、私の事だ。 「別にいいんだけど。そういうの、なんか、上辺だけ見られてるみたいじゃん? 外見とかバスケは……まあそれでも、俺の性格とかじゃないじゃん? そういうの嫌だったんだ。なんかミーハー?」  うん、と相槌を打つフリをしながら口元に手を持って行く。こっそりと、唇を噛む。それは、私の事だ。 「でも、沙耶は」  堂本君の口から出た、女の子の下の名前に心が震える。そういえば、彼はどんなに仲良くなっても他の女の子は名字にさん付けだ。私も含めて。 「沙耶は、そういうの全然なかったから。寧ろ、ちゃんと校則守れって怒るし、バスケだって興味なさそうだし。勿論、好きになった理由は他にもたくさんあるんだけど、それでも俺をちゃんと見てくれてるっていうか、俺の内面? を見てくれているのが沙耶からは伝わるから」  言って、うわー、なんだよ言わせんなよー、と赤くなった顔を立てていた膝に埋める様にする。 「絶対、内緒な?」  顔をあげて、まだ赤い耳のまま笑う。  胸の辺りがちくちくと痛い。こんな嬉しそうな顔、初めて見た。  そして、今、お前は確実にないと告げられた。別に、外見だけで好きになったわけじゃないのに、上手く言い返せない。堂本君はきらきらしてて目立っていてて、綺麗に制服を着こなして、それ以外に、なに?  堂本君はクラスの中心ですごいなと思っていた。それも今、違うと言われた。
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