引き立て役だなんて思ってないよ

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 教室のベランダから校庭を見下ろす。  茶色い砂埃をあげて、ボールが飛び交う。 「パス!」  飛んで来たボールをキャッチする。白いワイシャツに茶色い跡がつく。あーあ、今日もあんなに汚して。  彼が投げたボールは綺麗な放物線を描いて、バスケットゴールに吸い込まれた。古いバスケットゴールが揺れる。 「あ、堂本君達?」 「美優」  お昼代わりの野菜ジュースを飲みながら、美優もベランダに出てくる。 「かっこいいよねー、堂本君」  シュートを決めた堂本君がガッツポーズをしている。茶色髪に午後の強めの日差しがあたりキラキラと輝く。キレイ。  毎日毎日、どしゃ降りの日以外は、彼らはこうやって昼休みに校庭で遊んでいる。今日みたいなスリーオンスリーだけじゃなくて、サッカーとか鬼ごっこの日もある。一体いつお昼ご飯食べてるんだか。  ゆるくパーマをかけたふわふわの茶髪に、上手に着崩した制服。一年生にしてバスケ部のエースの堂本君は、女子から絶大の人気を誇っている。 「友梨、堂本君狙いなんだよねー」  野菜ジュースは残り少ないらしい。パックからずぞぞぞぞと嫌な音がする。 「まあ、ね」 「友梨可愛いからいけるんじゃなーい。ええっと、佐野だっけ? あれ」  言いながら美優が堂本君にパスをした人物、佐野君を指差す。堂本君とは対照的な直毛の黒髪。黒縁メガネ。堂本君が不良っぽいのに対して、佐野君は優等生然としている。 「生徒会で一緒だからって、堂本君の情報聞いたりしてるんでしょう?」 「まあ、ねー」
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