引き立て役だなんて思ってないよ

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 話をしていると、佐野君が顔をあげた。目が合う。佐野君はゆっくり微笑むと右手をあげた。隣の堂本君もこちらをみると、Vサインを作ってくる。 「白井さんみたー? 今の俺のスーパーシュート!」  両手をメガホンにして叫ぶ。返事の代わりに私も手を振った。教室二階でよかった。  堂本君は嬉しそうに笑う。 「やだ、友梨すごーい! 堂本君に名前覚えられてるじゃーん」 バシバシ肩を叩かれる。おばちゃんかよ。 「まあ、ね」  コートに戻る彼らを見ながら曖昧に返事する。途中で佐野君が振り返ると、一度悪戯っぽく笑って右手をあげた。  どきっとする。 「んー」  再びはじまった試合を見ながら美優が眉をひそめる。 「友梨さー」 「うん?」 「勘違いされてない? 佐野に。仲がいいのは佐野に好意があるからって思われてるんじゃないのー?」 「まさか」  笑うと、美優は真面目な顔して、 「だめよ、友梨。ああいう真面目そうなタイプは勘違いしちゃうからね」  私の両手を掴み言う。 「はいはい。教室戻ろうよ、ちょっと寒い」  笑みを浮かべていいながらも、どきっとする。  美優には言えないけれども、それは絶対にない。それだけは言いきれる。
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