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あれは、六月の終わり頃だったと思う。
生徒会広報紙を作るのに時間がかかり、下校時刻が遅くなってしまった。
「白井さん」
校門から出たところで、佐野君が待っていた。自転車にまたがって。
「駅だよね? 暗いから送ってくよ」
「え、いいよ、別に」
「いや、通り道だし。それにさ」
佐野君は一度視線を地面に落とし、
「話たいこともあるし」
困ったような顔をしていった。
何の話? とは聞けなかった。私は堂本君一筋だったし、絶対オッケーはしないつもりだったけど、告白なんじゃないかって、期待してしまった。堂本君と比べると地味だけど、佐野君だってまた違ったタイプでかっこいいし。
ゆっくりと駅に向かって歩き出す。佐野君はサドルに座ったまま、片足で地面を蹴って進んで行く。
どうしよう。告白なんてされたことなんてないけど。どうしよう。
そんなことを思いながら、佐野君の顔が見れなくてやや下を見ながら歩く。
「あー、あのさ、白井さん、話って言うのは」
「う、うん」
声が少し裏返った。恥ずかしい。
「間違ってたら悪いんだけど、白井さんって堂本狙いだよね?」
「は!?」
今度は妙に大きい声がでた。足も止まる。
「え、あれ、違う?」
「いや、違わないけども、なんでっ!?」
叫ぶような声になる。私、そんなにばればれだった? っていうか、告白だと思ってた私が恥ずかしいっ!
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