引き立て役だなんて思ってないよ

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「こんにちはー」  放課後、生徒会室のドアをあけると、佐野君だけがそこにいた。 「おつかれー」  佐野君が片手をあげる。 「皆は?」 「んー、まだ来てない」 「ふーん」  適当な席に腰掛ける。  佐野君はアンパンを食べていた。 「おやつ?」 「そう、おなかすいちゃってー」 「そりゃー、昼休みにあれだけ遊んでたらねー」  笑う。 「あ、今日もありがとね。名前、呼んでもらったし」 「ああ、うん」  イマイチ歯切れが悪い。 「佐野君?」 「うーん、あのさー」  佐野君はこっちを見ると、 「言おうか迷ったんだけど。堂本のことなんだけど、堂本は」 「おつかれーん、可愛い可愛い一年生諸君!」  佐野君の言葉を遮るように勢いよくドアがあいて、生徒会長の異様に高い声が響く。今日も絶好調だなぁ。 「おつかれさまでーす」 「お疲れさまです」 「なぁにー、佐野ぉー、おやつー?」  生徒会長が佐野君に絡みに行く。佐野君は先輩達には妙にモテる。モテるというか、いじられているというか。 「なんですかー」 「アンパンかー。メロンパンの方があたしは好きだなー」 「知りませんよっ」  二人の話を聞きながら、もやもやした気持ちを抱える。  堂本は、何?
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