痛いの痛いの飛んでいけ

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痛いの痛いの飛んでいけ

僕はスラム街を歩いていた。 此処は「要らないモノ」の掃き溜め。 人も物も、要らないと此処に捨てられる。 要らなくなった人は要らなくなった物から食べ物を探し、食べ、要らないなりに生きている。 僕はあるお屋敷の使用人の子供だった。 使用人同士の恋愛さえ禁止されていた中での妊娠だったが、主人にバレるまで5年間、使用人皆が僕を匿ってくれた。 とうとうバレて追い出されたけど。 そこからフラフラと歩いて、気付いたら此処にいたんだ。 全身には小さな傷が沢山ある。 小さいと言えど、大量にあるそれは、僕の体力を消耗させるのに十分だった。 知恵の働かない僕は、スラムの幾らか年上の子供に身ぐるみをはがされ、今はこの泥や汗で薄汚れた大きな白いTシャツだけ。 歩いているうちに夜になってしまった。 体力も限界で、もう動けない。 足に力が入らなくなって。……パタリ、と倒れ――― ない?
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