痛いの痛いの飛んでいけ

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あれ? 肌に当たる土の感触がない。 あるのは人の温もりだけ。 随分と感じていなかったそれに、懐かしいという感情まで覚えた。 「―――おい、大丈夫か」 僕を抱き止めてくれた人は、だぼっとした白いワンピースを着ていた。 帽子をかぶっていて、丈の長いワンピースと深い帽子のせいで、見えるのは口元と白い手先だけ。 金や白銀で出来たネックレスやピアスをしており、裕福さがうかがえる。 「―――聞こえるか?」 「ん、うん……」 会話をしながらも、顔や手足に付いた汚れを拭いてくれている。 「汚れているだけで、あまり酷い怪我はなさそうだな。よし、私が怪我を治すおまじないをかけてやる」 「おまじない?」 「そうだ。いくぞ」 そう言って僕を更に強く抱き締める。
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