Act.2 変わってゆくということ

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『あら、藤澤くん?』 『え? ぁ』  にこりと優しげに笑った新海さんとは、たまたまコンビニの駐車場で会った。ゴミ箱の前に散らかったゴミを片付けていた新海さんが、オレに気付いて声をかけてくれたのだ。 『どうしたの? こんなところで。瀧川くんは今日、夕方からでしょう?』 『ぇ? ……──ぁ、いや……全然。……フツーに、通りがかっただけなんです』 『あら、そうなの? やだ、ごめんなさい』  早とちりしちゃった、と取り繕って笑った新海さんに同じように笑い返しながら、心臓がバクバク鳴っているのが分かる。  颯真は朝からバイトって言って出かけたのに、夕方からってどういうことなんだろう。オレが嫌で朝からバイトって嘘吐いたのかな? でも、昨日はホントにむちゃくちゃ疲れてたし。  そう言えば、昨日はお昼を食べ損ねるくらい忙しかったのだと思い付いたら、口が勝手に動いていた。 『──昨日って……』 『ん? なぁに?』 『……忙しかったですか?』 『えーと? 店の話? ……そうでもなかったけど……』 『そう、ですか……』  すいません変なこと聞いて、と取り繕って笑ってから、それじゃあ、と頭を下げる。足早に立ち去りながら、暴れる心臓をシャツの上から無意識に握りしめていた。 (……なんで嘘なんか吐くんだろ……)  忙しくてお昼を食べ損ねたり、朝からバイトだったり。  どうしてそんな変な嘘? なんて思ったけど、嘘を吐くようなタイプじゃないことも知っているから余計に分からなくなる。  嘘じゃないとしたら? 今、いつものコンビニじゃない別の場所でバイトをしているのだろうか。昨日忙しかったのは、コンビニとは別の場所での話だろうか。  でもじゃあ、なんでまた急にバイトの掛け持ちなんて?  こんこんと湧いてくる疑問の渦に飲まれてぐるぐるしていたら。 「──ぁ」  耳に馴染んだ不動産屋のCMが聞こえて立ち止まる。 (もしかして……)  急に立ち止まったせいで色んな人から睨まれる。それに気付いてすごすごと道の端に避けてから、スマホを取り出した。  *****
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