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泥みたいに疲れた体を引きずって帰ったら、とびっきりの笑顔と美味しい匂いで出迎えてくれた司に、ほんの少し泣きそうになった。
あぁ幸せモノだなぁ、なんて思いながらわしわしご飯を掻き込んで、喉に詰める勢いでおかずを食べる。
オレの食べっぷりにびっくりしながら嬉しそうに笑う司が愛しくて、思わず伸ばした手で頭を撫でた。
「ありがとね、めちゃくちゃ美味しい」
「よかった」
「今日ちょっと昼食べ損なって」
だから余計に美味しい。
何気なくそう呟いたら、え? と驚いて顔を上げた司が痛そうな顔をする。
「ダメじゃん食べなきゃ」
「うん。そうなんだけど……ちょっと忙しくて」
「忙しいって……。……そういえば、最近ずっと忙しいって言ってる気がする……」
「ぇ? そう?」
じっと哀しそうに心配する目に見つめられて、内心ダラダラ冷や汗をかきながら必死に平静を装う。
「そんなことないと思うけど……」
「そんなことあるよ」
「そ、そう?」
「そう。だってこないだオレが来た時も、なんか忙しいって言ってた気がするし……」
「そうだっけ?」
目を合わせていたら墓穴を掘りそうな気がして、そんなことないよと笑っておかずに手を伸ばしたら、心配する司の視線をつむじの辺りに感じながら気づかないフリで箸を迷わせる。
そんなオレの態度に小さく溜め息を吐いた司が
「…………オレ、来ない方がいいかな」
そんな風にしょんぼりした声で呟くから。
「なんで!?」
思い切りよく顔を上げて、口に入ったご飯を飛ばす勢いで聞けば。
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