Act.1 週末同棲

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 ハタッと目が覚めたら部屋の中は真っ暗だった。  いつもは一緒にくっついて眠る筈の司が、今日はベッドの端っこでオレに背を向けて眠っている。その上、掛け布団も被っていないことに気付いてやっと首を傾げてから。  自分の体に掛けられた春物のジャケットに気付いてもう一度キョトンとする。 (なんで……?)  うん? と悩んで、あ、と声を上げかけて寸前で口を塞いだ。  司を起こさないようにそろりと体を起こして、やっぱり、と溜め息を一つ。  あんなに心配して家に来ることをやめようとまでした司に、必死で言い聞かせたのに疲れて寝落ちだなんて。 (何やってんだオレは)  ずぅんと凹みながらもう一度見つめた司のお腹にはバスタオルが掛かっていて、あぁなんか幼稚園のお昼寝ってこんな感じだったなぁ、なんて現実逃避。  いくら司が華奢とはいえ、司を起こさないように抱えて掛け布団を引っこ抜くことは不可能だ。幸いにも布団がなくて風邪を引くような季節は過ぎている。  今の今まで下に敷かれていた掛け布団を司の方へ寄せて、せめて寒くなったときには布団をたぐり寄せられるようにしておくことにして。 (……早く……)  なんとかしないとなぁ、と溜め息を吐いて、今度はちゃんと敷マットの上に横になって寝返りを打つ。淋しそうな司の背中をしばらく見つめた後で、そっと目を閉じた。  *****  朝起きたら颯真はもういなくて、いつかの朝みたいに置き手紙が机の上に置いてあった。  あの日みたいに哀しくて淋しくて取り乱したりはしなかったけど、それでもちゃんと起きて見送ろうと思ってたのに何やってんだよ、なんて落ち込んだのは事実だ。  溜め息を吐いてベッドから降りたら、カーテンを開ける。  今日は良い天気だ。  いつもは甘えっぱなしの洗濯をしておこう。  それから、と今日のスケジュールを頭に描きながらもう一度手紙に目を落として、「帰りは昨日と同じくらい」と書かれた一文に溜め息を一つ。  昨日は随分疲れていたみたいなのに、今日はこんなに早い時間から遅くまでだなんて、本当に体は大丈夫なんだろうか。  大丈夫だから、と言っていた時の必死な顔を思い出して小さな溜め息をもう一つ零した。
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