Sweetな時を刻みましょう

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そう話すと聖司さんは写真をアルバムからはずし、表裏を反対にした時だった。 「あっ…!」 そこに何か書かれていることはすぐにわかった。 『実晴 4歳 組体操で登れなくて不貞腐れてる』 お母さんの字で書いてあるのは一目瞭然だった。 ペン字を習っていたお母さんの字は本当に綺麗で、羨ましいぐらいだった。 でも、もっと驚くことがあった。 『実晴 写真を撮ろうとするともっと怒った』 お世辞にも綺麗とは言えない、お父さんの字 お父さんはお母さんと違って、あまり写真を撮ろうとしなかった。 今考えれば同じ写真部に入っていたのに、どうしてだろうと思うけどきっとお母さんが撮りたがったからお父さんは遠慮したのだと思う。 「実晴は、本当に愛されて育ったんだね」 私の頭をくしゃっと撫で、そのまま聖司さんは自分の胸に私の頭を抱き寄せた。 トクトク、と規則正しい聖司さんの心臓の音が聞こえてくる。
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