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そういうと、聖司さんは私から離れ、私のアルバムを自分の膝元に持ってきた。
私の幼い頃からの記録、ただそれを見られてるだけなのにとても恥ずかしく感じる。
そのアルバムの中から、聖司さんはいくつかの写真を取り出した。
初めて寝返りをした私の写真
初めて立った時の写真
幼稚園の入園式の写真
卒園式の写真
入学式、卒業式の写真
…いわゆる、お祝いをするような日の写真ばっかりだった。
「俺さ、聞いたんだ、実晴がアルバムを探している時に」
何をですか、と聞こうとすると聖司さんはおもむろに全部の写真を裏返した。
そこにはさっきの写真と同様にお父さんとお母さんの字でその時の状況が書かれていた。
「共働きで実晴と一也には寂しい思いをさせたって」
「…そんなこと……」
そんなこと、一回も感じなかった。
お母さんは私が小学生になってから仕事に復帰したから、帰りは学童に預けられたけどそれはそれで楽しかったし、休日は必ずどこかに連れて行ってくれた。
全然、寂しさなんて感じてなかったのに…
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