Sweetな時を刻みましょう

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「それに、お義母さんとお義父さんの会話もあまりできなかったんだって」 確かに、お父さんは休日以外はほとんど家にいなかった。 エンジニアとして働くお父さんはいつも忙しそうだったけど、休日は必ず私と一也の相手をしてくれていた。 「その2人をつなぐ唯一のものがこの写真たち」 写真によってはまちまちだけど、裏に書いてある内容はただ状況の説明の時もあれば、ちょっとした会話になっている時もあった。 「お義父さんとお義母さんは、この写真たちを通じて会話をしていたんだって、そう言っていたよ」 仲が悪い夫婦ではないけど、一緒に過ごす時間があまりない分、こういったものを媒介して会話の時間を作っていたのだろう。 「…そうだったんだ」 「写真は切り絵、それだけじゃないんだよ。同じ時を刻んだ証、実晴の御両親にとって写真は本当に大切なものだったんだよ」
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