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「実晴、おっちょこちょいだったんだね」
ふふっと、口元を隠しながら微笑む聖司さんにキュンとしながらも恥ずかしさで顔が熱を持つ。
「もうっ、お母さんこういう写真ばっかりなんだからやめてよ!」
昔の私は、あまり写真が好きじゃなく、撮る時はほとんど泣いているものばかりだった。
理由は様々だったが、こういう恥ずかしい場面ばかり残るから幾つになっても写真は苦手だ。
携帯で撮る写真ももっぱら風景とごはんとかで、自分が写っている写真はほとんどない。
「あら、今となってはいい思い出じゃない?」
嬉しそうに微笑むお母さんはそれにね、とボソッと呟いた。
「お母さんがね、写真部に入ったのはね、お父さんがきっかけなの」
「おい、理恵子(りえこ)その話はもうしない約束だろ?」
困った顔をするお父さんをよそに、私と聖司さんはお母さんの呟きをスルーしなかった。
「お母さん、その話教えて!」
「僕も聞きたいですね、お義母さん」
ノリノリの私たちにお父さんはため息をついたが、お母さんは私たちにこれはね、と嬉しそうに話してくれた。
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