Sweetな時を刻みましょう

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お母さんは高校一年生の時、ふらっと部活動見学で写真部のブースを見たらしい。 中学はバレーボールをやっていたお母さんは何か新しいことをやりたいと色々な部活を見学していた時にたまたまそのブースに入っていった。 「別に写真がやりたいわけでもなかったんだけどね…なんか、惹かれちゃう写真が一枚あったの」 高校近くにある公園のちょっとした丘の上から夕日を撮っただけの写真だったが、何か懐かしさとか切なさとかをお母さんは感じ取ったらしい。 その写真を見ていたら、後ろから部長さんに声をかけられたそうだ。 「部長さんはね、写真はその時の風景だけじゃなくて感情とか、見えないものまで残せるいわば切り絵みたいなものだって言ったのよ」 切り絵、とはまた何だか古風だが確かにそうだ、と思ったお母さんは写真部に入った。 しかし、その部長さんは既に引退していて一度も会うことはなく、そのままお母さんも部活を引退し、晴れて大学生になったのだが…
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