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きっと今、こいつはいつの間にか定着してるおれの左側でおれのいちばん好きな顔で笑ってる。
八重歯と片っ方えくぼと細くなって見えなくなる綺麗なうすい茶色の瞳(め)。
心臓壊れそうなんで見れんけど。
いつからやったっけな。
お前の言葉に一喜一憂して、それがいやで認めたくなくて仏頂面しかできなくなった。
「………つきあうと?」
「ん? いや、付き合わんよ!」
ちら、と横目で見やって筆箱と教科書を一纏めに掴む大きな手が横に大きく振られるのにどこかほっとしながらさっと逸らす。
「……あっそ」
「藤田がそがん可愛らしいこと聞いてくるん珍しいなー。
藤田はどうなん、好きなやつおっと?」
「うん」
「えっ」
思ってもみなかったって、複雑そうなびっくりした顔。
バレるんが怖くてそうゆう話はわざとらしいほど避けていた。
心臓の音は変わらず煩いし手の中の汗は尋常じゃないけれど、
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ期待が顔を覗かせる。
「の、のぞむ、」
余裕のなくなって、オレ聞いてないでって足まで止まったそいつを見て思わず口元が緩んでしまって、咄嗟にきゅっと口をへの字にする。
どこまでいっても思わせぶりやな。でも、
なんかね、気づいたらね、お前におちとったよ。
end.
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