始めからめちゃくちゃ

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ぱしゃって、水風船の弾けるような音がした。 …いや、どさって音だったかもしれない。 …ざくっ? ……がんっ?? どんな音だったのかよく思い出せないけど、 私の前で弟が倒れたのは事実だ。 赤い水たまりの中で、弟だったものが倒れていた。 正確には、弟だと私に名乗ったばかりの誰か知らない人が倒れた。 …これが一番正しい表現かもしれない。 出会って数分では弟らしいといっても何の感慨も抱けなかったが、 1つだけはっきりしていることがある。 ここに居れば、多分私が犯人にされる。 (逃げよう) 周りに誰もいないのを確認して、 いつも持ち歩いてる薄いゴム手袋をつける。 今後どんな事態が起こるか分からない今、 ヒントだけでも手に入れたいのが人情だと思った。
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