捜索

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意味がわからないのは嶋田も同じだ。 「……先輩、失礼を承知で確認しますがその方は生きている女性ですか?先輩だけに見える霊的なアレとかではなく、人間ですか?」 「嶋田、お前は何を言ってるんだ。決まってるだろう。生きてる女性だ……多分な」 「多分って何なんですか、多分って。ってか顔も名前も年齢もわかんないのになんで性別分かるんですか…っと、あ、すみません」 往来のど真ん中で立ち止まる2人の男は、障害物の一つとなっていたようで、後藤にぶつかるものは誰1人いないものの、嶋田にはさっきから肩やら肘やらバッグやら傘やらがいちいちぶつかってきていた。 「あの、先輩、とりあえず端に移動しましょう。皆さんの邪魔になりますから、こんな帰宅ラッシュの道のど真ん中じゃなくて、あそこ、ほら、あそこでなんか飲み物でも飲んでゆっくり話しませんか?」 嶋田から見て右側に、朝と昼はいつも賑わっている小さなコーヒーショップがある。客のほとんどが朝は目覚めのコーヒーを、昼は眠気覚ましのコーヒーを求める勤労者達だ。嶋田も日頃から利用しており、店の中には小さいながらもイートインできるスペースがあることを知っていたので、最短でちょっとお茶でも、ならばあそこしかない。
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