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「うう……荷物が、重いです…………」
「ん?」
学園から帰る途中、どこからか、困っているらしき女の子の声が聞こえた。
何だろう……少し気になる。
その声の方へ向かうと、『雛野神社』へ続く階段の下へ辿り着いた。
雛野神社は、伝説のソーサレスである雛野 日和の住んでいた神社で、今では平和の象徴として扱われている。
そしてそんな立派な神社への階段の下に、声の主はいた。
「うう……調子に乗ってお買い物しすぎちゃいました…………」
見たところ同い年くらいだろうか。
身長は150cm少しくらい。赤髪のロングヘアーと、同じく赤い瞳。そして俺と同じ学園の制服を着ている彼女の手には、驚くほど大量の買い物袋があった。
「大丈夫?」
「あ……す、すみません、だ、大丈夫ですからっ
。よい、しょ……っ! …………はぁ、はぁ……うぅ。疲れました……」
…………これは無理そうだ。
「俺、持つよ」
「あ、でも、悪いです……」
「さすがにその大荷物でこの階段は無理だよ。ほら、貸して」
「……ありがとうございますっ!!」
赤髪の子はぱーっと輝く笑顔になって、ぺこりとお辞儀した。
受け取った袋は一つでもかなりの重さだったけど、決して馬鹿力ではない俺でも、なんとか運べるレベルだった。
バランスを崩さないよう、慎重に階段を上っていく。
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