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由莉は僕の髪をすくいながら
顎先に手をかけると
「飢えた顔も見たいけど――」
「え……?」
「与えたがるのが男さ」
今にも唇を重ねそうなところまで顔を近づけて囁く。
「あの……」
繊細で気怠い彼の瞳は
既に僕の唇しか捉えてはおらず。
このままじゃ――。
面と向かって拒絶もできない僕は
キスを受け入れるしかなくて。
(どうしよう……)
思っていたら――。
「いてててっ……!」
冬馬が思い切り
血迷った弟の耳を引っ張り笑顔で言った。
「着替えたら食堂においで――いいね?」
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