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「そう……サークルの合宿。急に空きが出たんだって昨日友達に誘われてさ……」
僕が家に電話を入れたのは
翌朝早くのことだった。
「大丈夫、危ない事なんてしないから。うん、平気……いや、まだ当分帰んないかな。帰る日が決まったらまた連絡するから心配しないで……じゃあ」
まだぼんやりする頭で嘘を吐くのは
長男が失踪して間もない母親にこれ以上心配をかけない為で。
「嘘を吐くのが上手いんだな――」
決してそんなんじゃない。
「由莉さん……」
「おはよ」
見れば起き抜けの由莉が
着物のような薄手のガウンをサラリと羽織り
ドアにもたれて立っていた。
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