第3章

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冬馬の方は冷めた風で 「無理もないさ。学部が違えば会うこともないし。僕がカフカだのヴェデキントだの難しく語ってるからと言って――君が知らなくても何の罪もない。罪があるとすれば由莉――僕の弟でありながら他人の日記ひとつまともに読めないおまえの方だ」 逆に弟を貶してたしなめる。 「すみません……僕、何も知らなくて失礼なこと……」 「いいや」 彼は自分が何者かより 僕の着ているシャツと 「君の質問に答えるならイエスだ。読んだよ、響也の日記は全部」 この先の僕の反応の方に いくらか興味があるようだった。 「何か知りたいことが?」
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