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「あっちにもいるだろ?ほら、夏水仙の後ろに」
僕の肩を抱いて長身を屈め
冬馬は桃色の愛らしい花の向こうを覗く。
「見えるか?」
「ええ、見えます――」
キラキラと輝く細長い孔雀の首は
夏水仙の桃色に交るとまるで花の茎のように見える。
「凄く綺麗」
美術品から抜け出したような光景に見とれ
ついつい気を抜いた。
満面の笑みで振り向けば
「君の顔を見てる方が楽しい」
吐息のかかるほどの至近距離で冬馬がそう言って微笑んだ。
「っ……!」
僕は思わず目を逸らし
不自然極まりないスピードで再び孔雀に視線を戻した。
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