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「おはようございます」
足首まである長いガウンを引きずりながら
由莉は部屋に入ってくると。
「よく眠れたか?」
自分の方が一睡もしていないような気怠い顔で僕に尋ねる。
「ええ、不思議とぐっすり」
本当に不思議なことだけれどこの状況で――。
気づけば僕はいつになく深い眠りについていた。
「へえ……意外と神経が太いんだな」
「そんなことは」
もしかしたらあてがわれたのが
響也がつい最近まで使っていたという部屋だったせいかもしれない。
「それで?どこまで読んだ?」
由莉はガウンの裾を折りながら
僕のベッドに座り込むと。
「それが……まだまだ序盤で」
枕元に伏せたままにしてあった
革表紙の分厚い日記帳を手に取った。
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